輸入関税に注目!無条件免税品と無税品の違いは?
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無在庫販売は有在庫販売に比べ、商品売れ残りのリスクがなく、商品を保管する倉庫費用も発生しない、商品を仕入れるための資金も不要といったメリットがあります。しかし、せっかく色々工夫して利益を上げようとしても、うっかりすると思わぬコストが発生してしまうケースがありますよね。
それは、予想外の輸入関税がかかってしまうことです。
この記事では、これから無在庫販売をご検討される方に、どの商品を販売しようか、売値をいくらに設定しようかと考えたとき、特に越境ECをご利用において輸入関税に注目して頂き、ご自身の取り扱っている商品はどれに該当するのか、輸入関税のことについて、少しでもご参考になれば幸いです。
無条件免税品と無税品の違いについて、説明したいと思います。
無条件免税は、皇室用品、外国元首等用の物品、国の専売品、再輸入品、少額貨物等につき関税を免除するもの。中には約20に分類され、皆様と一番関わっているのは、「少額貨物」になります。
「少額貨物」とは、課税価格の合計額が1万円以下であり、かつ、関税定率法施行令で規定する「関税を免除することを適当としない物品」に該当しない物品のことです。
つまり、課税価格の合計額が1万円以下で、以下の条件を満たしている物品は、輸入時関税・消費税が免除されます。
- 「関税を免除することを適当としない物品」(ニット製品、革製品などを除くということ)
- 消費税以外の内国消費税の課税対象とならないもの。
- 関税法(証明又は確認)に規定する他法令の証明又は確認を要しないもの。
- 関税法に規定する原産地虚偽又は誤認表示がなされていないもの。
無税品は、基本的に「実行関税率表」に記載されている税率が「Free」となっている物品になりますが、判断基準は、物品の構成、用途、取引相手国・地域などにより、優先に適用すべき税率が「基本税率」「協定税率」「特恵税率」「暫定税率」のどれなのかになります。
適用税率の優先順位:原則として、特恵税率、協定税率、暫定税率、基本税率の順に優先して適用されます。ただし、特恵税率は対象となる国の原産品であるなどの条件を満たす場合に限られ、協定税率は、それが暫定税率又は基本税率よりも低い場合に適用されます。
※少額貨物の無条件免税対象外「関税を免除することを適当としない物品」の一部例として、下記をご参考に
衣類
無在庫販売商品の割合が多く占めているのは、アパレル商品です。なぜならば、皆様の日常生活に密着しており、商品に対して特に専門的な知識を必要としない、リスクが少ないなどから気軽に販売しやすいことです。そして、中国から仕入れの無在庫直送商品の課税価額が1万円以下のものの割合が非常に大きいです。この制度と無在庫販売との相性が非常に良いのです。
しかし、例えば、課税価額が1万円以下のワンピースを中国タオバオサイトから仕入れて販売する場合、輸入時関税がかからないのか、というと、そうとは限りません。これは、当サイトに限ることではなく、日本に輸入する際どの業者に依頼しても同じことです。
では、その判断基準はなんでしょうか?
それは、「少額貨物の無条件免税」には適用対象外物品に該当する場合、課税価額が1万円以下であっても、例えばワンピースの生地が「編み」である場合は、適用対象外となる場合があります。
布製品であれば、帽子、手袋、靴下、マフラー、バック・・・男女を問わず、生地が織りか編みかによって変わります。
また、課税対象の場合は、材質が綿、ポリエステル、ウール、カシミヤ・・・によって税率も異なります。こちらの情報を把握しておけば、事前に税率等が分かれば、原価計算より確実にでき、利益を確保することができます。 関税のからない商品に挑戦するか、課税対象商品でも販売価額の設定も判断しやすくなるのではないかと思います。
カバン・財布類
ハンドバッグ、通勤用カバン、書類カバン、スーツケース、トランク、携帯用化粧バッグ、財布など材質が本革の場合、課税価額が1万円以下でも関税がかかります。また、材質、構成、1個の価額などの要素によって税率が異なります。さらに、一部の皮は、ワシントン条約の規制に該当する場合、輸入禁止です。税率の判断が難しく、革製の場合税率が高いため、革製バック類の販売を避けるか、販売されるのであれば、利益を確保する意味では、事前に税率等を把握、原価計算より確実にする必要があります。仕入れる前にご確認、ご相談されることをお勧めします。
靴類
靴については、中国輸入する際に、実際の関税率はどのようになっているのでしょうか。こちらも靴の材質に注目する必要があります。材質が本革である場合は、課税価額が1万円以下であっても関税がかかります。「革靴の関税」は、「60%又は4,800円のうちいずれか高い税率」または「30%又は4,300円のうちいずれか高い税率」が課されます。
「皮靴以外の靴」は、皮靴に比べると税率が大分低く、また、ブーツ、スニーカー、パンプス、サンダルなど種類・材質によって税率が異なります。
靴の販売をご検討される場合は、靴全体ではなくても、部分が本革を使用してあった場合も注意が必要です。靴の関税率の規定が細かく判断が複雑で、皮靴の税率が高いため、販売をする場合は、利益を確保するという意味では、事前に税率等を把握、しっかり原価計算を確実にする必要があります。仕入れる前にご確認、ご相談されることをお勧めします。
ご参考に、革製品は輸出国によって、輸入時の関税率が異なります。
皮製品を輸入したいときは、「事前教示制度」の利用をお勧めします。
「事前教示制度」とは、貨物の輸入をご検討さる方が、輸入の前に税関に対して、当該貨物の関税分類(税番)、原産地、関税評価及び減免税についての照会を行い、その回答を受けることができる制度です。事前に税番税率等がわかるので、原価計算より確実でき、輸入計画や販売計画を立てるための一助となります。また、通関においても適正かつ迅速な申告が可能となり、結果として早期に貨物を受け取ることができるようになります。
課税価額が1万円以下でも関税などがかかる品目は、上記以外にも多数あります。販売価額を設定する際に、「課税価額が1万円以下でも関税などかかる場合がある」ということを意識していれば、失敗しないでしょう。
東京税関 税関相談室
電話・FAX・メールによる相談ができます。
悩んだときは、ぜひ下記のURLにアクセスして相談してみてください。
https://www.customs.go.jp/tokyo/sodan/index.htm
次の記事も引き続き皆様に少しでも役に立つ情報を掲載したいと思います。